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5.10 プレーヤーの交代

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(a) プレーヤーの交代は、試合中ボールデッドのときなら、いつでも許される。代わって出場したプレーヤーは、そのチームの打撃順に従って、退いたプレーヤーの順番を受け継いで打つ。
(b) 監督は、プレーヤーの交代があった場合には、直ちにその旨を球審に通告し、あわせて打撃順のどこに入れるかを明示しなければならない。
【原注】 守備側のチームがプレーヤーが2人以上同時に代わって出場したときは、その代わって出場したプレーヤーが守備位置に着く前に、監督はただちにそのプレーヤーの打撃順を球審に示し、球審はこれを公式記録員に通告する。
この通告がなかったときは、球審は、代わって出場したプレーヤーの打撃順を指定する権限を持つ。
ダブルスイッチ(投手交代と同時に野手も交代させて、打撃順を入れ替える)の場合、監督はファウルラインを越える前に、まず球審に複数の交代と入れ替わる打撃順を通告しなかればならない。監督またはコーチがファウルラインを越えたら、それ以後ダブルスイッチはできない。
試合から退いたプレーヤーは、ベンチに入って、そのチームとともに残ることはできる。また、投手のウォームアップの相手をすることもできる。プレーヤー兼監督が控えのプレーヤーと代わって退いた場合、ベンチまたはコーチスボックスから指揮を続けることはできる。
審判員は、試合から退いてベンチに残ることを許されたプレーヤーが相手チームのプレーヤー、監督または審判員に対して、やじをとばすことは許さない。

【注】 我が国では、本項〔原注〕の〝ダブルスイッチ〟以下の段については、所属する団体の規定に従う。
(c) 交代通告を受けた球審は、ただちにその旨を自ら発表するか、または発表させる義務がある。
(d) いったん試合から退いたプレーヤーは、その試合には再び出場することはできない。すでに試合から退いたプレーヤーが、何らかの形で、試合に再出場しようとしたり、または再出場した場合、球審はその不正に気付くか、または他の審判員あるいはいずれかのチームの監督に指摘されたら、ただちに当該プレーヤーを試合から除くよう監督に指示しなければならない。その指示がプレイの開始前になされたときは、退いたプレーヤーに代わって出場しているべきプレーヤーの出場は認められる。しかし、その指示がプレイの開始後になされたときは、すでに試合から退いているプレーヤーを試合から除くと同時に、退いたプレーヤーに代わって出場しているべきプレーヤーも試合から退いたものとみなされ、試合に出場することはできない。プレーヤー兼監督に限って、控えのプレーヤーと代わってラインアップから退いても、それ以後コーチスボックスに出て指揮することは許される。
守備側のチームのプレーヤーが2人以上同時に交代する場合、監督はその代わって出場したプレーヤーが守備位置につく前に、速やかにそれぞれの打撃順に示し、球審はこれを公式記録員に通告しないければならない。
球審は、ただちに通知がなされなかったときは、球審が代わって出場したプレーヤーの打撃順を指定する権限を持つ。
【原注】 同一イニングでは、投手が一度ある守備位置についたら、再び投手となる以外他の守備位置に移ることはできないし、投手に戻ってから投手以外の守備位置に移ることもできない。
投手以外の負傷退場した野手に代わって出場したプレーヤーには、5球を限度としてウォームアップが許される。(投手については、5.07bに規定がある)
すでに試合から退いているプレーヤーが試合に出場中に起こったプレイは、いずれも有効である。プレーヤーが試合から退いたことを知っていながら再出場したと審判員が判断すれば、審判員は監督を退場させることができる。
【注】 アマチュア野球では、試合から退いたプレーヤーが、ベースコーチとなることを認めることもある。
(e) 打順表に記載されているプレーヤーは、他のプレーヤーの代走をすることは許されない。
【原注】 この規定は、〝コーティシーランナー〟(相手の好意で適宜に許される代走者)の禁止を意味している。試合に出場しているプレーヤーは、他のプレーヤーのために、コーティシーランナーになることを許されず、いったん試合から退いたプレーヤーも同様である。打順表に記載されていないプレーヤーでも、一度走者として出たならば、代わって出場したプレーヤーとみなす。
(f) 4.03(a)、同(b)の手続きによって球審に手渡された打順表に記載されている投手は、第1打者またはその代打者がアウトになるかあるいは一塁に達するまで、投球する義務がある。ただし、その投手が負傷または病気のために、投球が不可能になったと球審が認めた場合を除く。
(g) ある投手に代わって救援に出た投手は、そのときの打者または代打者がアウトになるか一塁に達するか、あるいは攻守交代になるまで、投球する義務がある。ただし、その投手が負傷または病気のために、それ以降投手としての競技続行が不可能になったと球審が認めた場合を除く。
以下はマイナーリーグで適用される。先発投手または救援投手は、打者がアウトになるか、一塁に達するかして、登板したときの打者(または代打者)から連続して最低3人の打者に投球するか、あるいは攻守交代になるまで、投球する義務がある。ただし、その投手が負傷または病気のために、それ以降投手としての競技続行が不可能になったと球審が認めた場合を除く。
【注】 本項後段については、メジャーリーグでも適用されるが、我が国では適用しない。
(h) 規則で代わることが許されていない投手に代わって他のプレーヤーが出場した場合には、審判員は、規則を正しく適用するために、正規の投手に試合に戻ることを命じなければならない。
万一、誤って出場した投手が、指摘されないまま打者へ1球を投げるか、または塁上の走者がアウトになった場合には、その投手は正当化されて以降のプレイはすべて有効となる。
【原注】 監督が規則に違反して投手を退かせようとしたときには、審判員はその監督に不可能である旨を通告しなければならない。たまたま、球審が看過して規則で許されていない投手の出場を発表してしまった場合でも、その投手が投球する前なら正しい状態に戻すことができる。万一、誤って出場した投手が1球を投じてしまえば、その投手は正規の投手となる。
(i) すでに試合に出場している投手がイニングの初めにファウルラインを越えてしまえば、その投手は、第1打者がアウトになるかあるいは一塁に達するまで、投球する義務がある。ただし、その打者に代打者が出た場合、またはその投手が負傷または病気のために、投球が不可能になったと球審が認めた場合を除く。
また、投手が塁上にいるとき、または投手の打席で前のイニングが終了して、投手がダッグアウトに戻らずにマウンドに向かった場合は、その投手は、準備投球のために投手板を踏まない限り、そのイニングの第一打者に投球する義務はない。

(j) 交代発表のなかったプレーヤーの取り扱い
代わって出場したプレーヤーは、たとえ発表がなくとも、次のときから、試合に出場したものとみなされる。
(1) 投手ならば、投手板上に位置したとき。
(2) 打者ならば、バッタースボックスに位置したとき。
(3) 野手ならば、退いた野手の普通の守備位置についてプレイが始まったとき。
(4) 走者ならば、退いた走者が占有していた塁に立ったとき。
本項で、出場したものと認められたプレーヤーが行ったプレイ、およびそのプレーヤーに対して行われたプレイは、すべて正規のものとなる。
(k) 両チームのプレーヤーおよび控えのプレーヤーは、実際に競技にたずさわっているか、競技に出る準備をしているか、あるいは一塁または三塁のベースコーチに出ている場合を除いて、そのチームのベンチに入っていなければならない。
試合中は、プレーヤー、控えのプレーヤー、監督、コーチ、トレーナー、バットボーイのほかは、いかなる人もベンチに入ることは許されない。
ペナルティー 本項に違反したときは、審判員は、警告を発した後、その反則者を競技場から除くことができる。
【注1】 次打者席には、次打者またはその代打者以外は入ってはならない。
【注2】 ベンチあるいはダッグアウトに入ることのできる者に関しては、プロ野球では各リーグの規約によって定め、アマチュア野球では協会、連盟ならびに大会などの規約に基づいて定めている。
(l) 監督・コーチがマウンドに行ける回数
プロフェッショナルリーグは、監督またはコーチが投手のもとへ行くことに関して、次の制限を適用しなければならない。
(1) この項は、監督またはコーチが、1イニングに同一投手のもとへ行ける回数を制限する規則である。
(2) 監督またはコーチが、1イニングに同一投手のもとへ2度目に行けば、その投手は自動的に試合から退かなければならない。
(3) 監督またはコーチは、そのときの打者が打撃を続けている限り、再びその投手のもとへ行くことはできない。
(4) 攻撃側がその打者に代打者を出した場合には、監督またはコーチは再びその投手のもとへ行ってもよいが、その投手は試合から退かなければならない。
監督またはコーチが投手のもとへ行った後、投手板を囲んでいる18㌳の円い場所を離れたら、1度行ったことになる。
【5.10原注】 監督(またはコーチ)が、捕手または内野手のところへ行き、その野手がそのままマウンドに行ったり、投手が、守備位置にいるその野手のところへ行ったときは、監督(またはコーチ)がマウンドに行ったものと同様に扱われる。ただし、1球が投じられた後、またはプレイが行われた後は、この限りではない。
監督(またはコーチ)が、捕手または内野手のところへ行き、その野手が投手と相談するためにマウンドに行って、規則の適用をのがれようとしたり、規則を出し抜こうとするいかなる企ても、すべてマウンドへ行った回数に数えられる。
コーチがマウンドに行って、投手を退け、新しく出てきた投手に指示を与えるために監督がマウンドに行ったときは、そのイニングで新しい投手のもとへ1度行ったことになる。
監督がすでに1度投手のもとへ行っているので、同一イニングで同一投手へ、同一打者のときには、もう1度行くことはできないと審判員が警告したにもかかわらず、監督が行った場合、その監督は試合から除かれ、投手はただちに退かないでその打者がアウトになるか、走者になるまで投球し、その義務を果たした後に試合から退かなければならない。この場合、監督は、その投手は1人の打者に投球したら交代しなければならなのだから、リリーフ投手にウォームアップさせておかなければならない。リリーフ投手は、審判員の適宜な判断において、必要な準備投球が許される。
投手が負傷を受けたとき、監督がその投手のもとへ行きたいときには、審判員にその許可を要請することができる。許可があれば、マウンドに行く回数には数えられない。

【注1】 我が国では本項にある、〝投手板を囲んでいる18㌳の円い場所〟を〝ファウルライン〟と置き換えて適用する。
【注2】 監督(またはコーチ)が投手のもとへ行った後、ファウルラインを越えて引き上げたら、その投手は、そのときの打者がアウトになるか、走者になるか、または攻守交代になるまで投球した後でなければ退くことはできない。ただし、その打者に代打者が出た場合は、この限りではない。
【注3】 監督(またはコーチ)が投手のもとへ行った回数を数えるにあたって、イニングの途中で投手交代の通告が行なわれた後、プレイが再開されるまでに新しく出てきた投手のもとへ監督(またはコーチ)が行った場合、監督(またはコーチ)がマウンドに行って投手を退け、そのままとどまって新しく出てきた投手に指示を与えて引き上げた場合、いずれも1度とは数えないが、次の場合は、いずれも監督(またはコーチ)が投手のもとへ行った回数として数える。
① 監督(またはコーチ)がファウルライン近くまできて投手に指示を与えた場合。ただし、ファウルライン近くまできたが、投手に指示を与えることもなくそのまま思い直して引き返した場合を除く。
② 投手の方からファウルラインを越えて、監督(またはコーチ)の指示を受けた場合。
③ コーチがマウンドに行って投手を退け、ファウル地域まで戻ってきて監督と打ち合わせてから、新しく出てきた投手のもとへ行った場合。
【注4】 コーチ(または監督)が、マウンドに行って投手を退け、新しく出てきた救援投手に指示を与えるために監督(またはコーチ)がマウンドに行った後、そのときの打者に代打者が出されたとき、監督(またはコーチ)が再びその投手のもとへ行くことは許されるが、その投手はただちに試合から退くことはできず、その代打者がアウトになるか、走者になるか、攻守交代になるまで投球した後に、退かなければならない。
【注5】 アマチュア野球では、本項については、各連盟の規定を適用する。
(m) マウンドに行く回数の制限
以下の規則は、メジャーリーグで適用される。マイナーリーグでは、1試合のマウンドに行ける回数について、本項規定と異なる制限を設けてもよいし、制限を設けないこともできる。
(1) 投手交代を伴わないでマウンドに行くことは、9イニングにつき1チームあたり5回に限られる。延長回については、1イニングにつき1回、マウンドに行くことができる。
(2) 監督またはコーチが投手と話すためにマウンドに行った場合、回数に数える。また、野手が投手と相談するために守備位置を離れた場合や投手が野手と相談するためにマウンドを離れた場合も、位置や時間にかかわらず回数に数える。
ただし、すでにマウンドで行われている相談に途中から監督、コーチまたは野手が加わっても、新たな回数には数えない。さらに、次の場合もマウンドに行く回数には数えない。
(A) 打者が打撃を完了して次の打者が打席に入るまでの間、投手と野手がいずれも守備位置から離れずに話し合いが行なわれた場合。
(B) 野手が、投手と話すためでなく、単に雨天時に野手がスパイクの汚れを払うためにマウンドに行った場合。
(C) 投手の負傷、または負傷の可能性があるために、野手がマウンドに行った場合。
(D) 攻撃側チームによる選手交代の通告後、投手が次の1球を投じるか、または、プレイをする前に、野手がマウンドに行った場合。
(E) 審判員のタイム(たとえば、審判員や選手が負傷したり、観客、物体、または球場整備員がフィールド上に現れたり、あるいは監督がリプレイ検証を要求したときなど)による試合の中断の際、野手が試合の再開を遅らせることなく、マウンドに行った場合。
(F) フェンス越えの本塁打を打たれた後に、野手がマウンドに行った場合。ただし、打者走者が本塁に達する前には自分の守備位置に戻らなければならない。
(G) イニングの間および投手交代の間に適用された時間制限の中で、野手がマウンドに行った場合。
(3) サインの確認──1試合(または延長回)で決められたマウンドに行くことができる回数を使い果たした後に、捕手が出したサインについて投手と意志の確認ができていないと球審が判断した場合には、捕手からの要求があれば球審は捕手に少しだけマウンドに行くことを認めてもよい。決められた制限回数を使い果たす前にサインの確認のためにマウンドに行った場合は、回数に数える。
(4) マウンドに行く回数制限の施行──監督またはコーチが、チームに与えられたマウンドに行ける回数を使い果たした後に、マウンドに向かうためにファウルラインを越えてしまえば、その救援投手の第1打者が打撃中でない限り、その投手を交代させなければならない。もし第1打者の打撃中であれば、規則5.10(g)により、その打者が打撃を完了するまで投げ続けなければならない。
監督またはコーチが、マウンドに行く回数に例外が適用されると思う場合は、ファウルラインを超える前に審判員に確認しなければならない。
本規則の運用によって突発的な投手交代を行なわなければならないとき、救援投手がブルペンでウォームアップをしていなかった場合、監督またはコーチは、マウンドに行く回数制限を超えて違反したことにより、試合から退けられる。この場合、審判員は、その救援投手に対して、試合に出場するために必要な準備の時間を与えることができる。
野手が、チームに与えられたマウンドに行ける回数を使い果たした後に、審判員に自分の守備位置に戻るように注意されたにもかかわらずマウンドへ行けば、その野手は試合から退けられる。しかし、この場合、投手交代の必要はない。
【注】 我が国では、(m)項については、所属する団体の規定に従う。

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