ボールデッドとなって各走者が帰塁する場合、ボールデッドとなった原因によって、帰るべき塁の基準がおのおの異なるので、その基準をここに一括する。
(Ⅰ) 投手の投球当時に占有していた塁に帰らせる場合。
(a) ファウルボールが捕球されなかった場合。(5.06c5)
(b) 打者が反則打球した場合。(5.06c4、6.03a1)
(c) 投球が正規に位置している打者の身体または着衣に触れた場合。(5.06c1、5.09a6)
(d) 0アウトまたは1アウトで、走者一塁、一・二塁、一・三塁または一・二・三塁のとき、内野手がフェアの飛球またはライナーを故意に落とした場合。(5.09a12)
(e) 打球を守備しようとする野手を妨げた場合。
(1) フェアボールが、内野手(投手を含む)に触れる前に打者走者に触れた場合。(5.09a7)
(2) フェアボールが、内野手(投手を含む)に触れる前に、フェア地域で走者または審判員に触れた場合。またはフェアボールが、内野手(投手を除く)を通過する前に、フェア地域で審判員に触れた場合。(5.05b4、5.06c6、5.09b7、6.01a11)
(3) 打者が打つかバントしたフェアの打球に、フェア地域内でバットが再び当たった場合。(5.09a8)
(4) 打者または走者が、打球を処理しようとしている野手の守備を妨げた場合。(5.09b3、6.01a6・7・10)
(5) 打者または走者が、まだファウルと決まらないままファウル地域を動いている打球の進路を、どんな方法であろうとも、故意に狂わせた場合。(5.09a9、6.01a2)
(6) 攻撃側プレーヤーまたはコーチが、必要に応じて自己の占めている場所を譲らないで、打球を処理しようとしている野手を妨げて、守備妨害を宣告された場合。(5.09a15、6.01b)
(f) 打者走者が、本塁から一塁へ走る際に、一塁への送球を受けようとしている野手の動作を妨げた場合。(5.09a11、定義44)──特に規定した場合を除く。
(g) 第3ストライクの宣告を受けただけでまだアウトになっていない打者走者、または四球の宣告を受けた打者走者が、捕手の守備を明らかに妨げた場合。(6.01a1)
(Ⅱ) 妨害発生の瞬間すでに占有していた塁に帰らせる場合。
(a) 投手の打者への投球に始まった守備を妨げた場合。
(1) 球審が捕手の送球動作を妨げた場合。(5.06c2)
(2) 打者が捕手の送球動作を妨げた場合。(6.03a3)
(3) 0アウトまたは1アウトで、走者が得点しようとしたとき、打者が本塁における守備側のプレイを妨げた場合。(5.09b8、6.01a3)
(4) 打者が空振りした後、スイングの余勢で、その所持するバットが捕手または投球に当たり、審判員が故意ではないと判断した場合。(6.03a3原注)
(b) 捕手またはその他の野手が、打者の打撃を妨害した場合。(5.05b3、6.01c)
(c) 走者が故意に送球を妨げた場合。(5.09b3)
(d) 攻撃側チームのプレーヤーまたはベースコーチが、必要に応じて自己の占めている場所を譲らないで、送球を処理しようとしている野手を妨げたために、守備妨害でアウトを宣告された場合。(5.09a15、6.01b)
(e) 内野手が守備する機会を失った打球(内野手に触れたかどうかを問わない)を走者が故意にけったと審判員が認めた場合。(6.01a11B)──ボールをけったときを基準とする。
(f) アウトを宣告されたばかりの打者または走者、あるいは得点したばかりの走者が、野手の次の行為を妨げた場合。(6.01a5)──次の行為に移ろうとしたときを基準とする。
(g) 1人または2人以上の攻撃側メンバーが、走者が達しようとする塁に接近して立つか、あるいはその塁の付近に集合して守備を妨害するか、惑乱させるか、ことさらに守備を困難にした場合。(6.01a4)──その守備が起ころうとしたときを基準とする。
(Ⅲ) 走者三塁のとき、ベースコーチが自己のボックスを離れてなんらかの動作で野手の送球を誘発した場合、またはベースコーチが意識的に送球を妨げた場合(6.01a9、6.01f)には、その送球がなされたときにすでに占有していた塁に帰らせる。